ブルネイ旅も2日目、1泊2日の旅なので今日で最終日です。
今回はホテルを出発して、再び首都のバンダルスリブガワン(BSB)中心部に戻ります。
中心部を流れるブルネイ川に沿うようにして形成された600年以上の歴史を持ち、3万人以上もの人々が暮らす世界最大の水上集落カンポン・アイール(Kampong Ayer)を訪れます。
大富豪の国にも関わらず、人口が50万人弱しかいないブルネイで、およそ3万人以上が暮らすということは、少なくない国民が水上集落で暮らしていることになります。
水上集落だけを見れば、裕福な国には見えませんが、どうやら実態は違うようなので、世にも不思議な水上集落の内部に実際に自分で足を運んで現実を見てきました。
世界最大の水上集落「カンポン・アイール」滞在記
マゼランの世界一周に同伴をしたアントニオ・ピガフェッタによって、カンポン・アイールは「東洋のベニス」とも称されました。
実際に私の目でベニスを見たことがある訳ではないので、多くを語ることはできませんが、それだけ規模も大きく、美しい街並みだったからこそ、その名が付けられたのでしょう。
私も自分の目で東洋のベニスこと、カンポン・アイールを見てきましたが、正直いうとそこまでかと?という印象は受けましたが、不思議な水上集落であることは確かでした。
金額交渉が必要なボートで水上集落へ
水上集落カンポン・アイールはブルネイでも有名な観光地でもありますが、実態は多くの人々が生活の場として暮らしている街でもあります。
水上集落を訪れるには、以前の記事で紹介したオールドモスク側から、地元の人々が生活の足としてタクシー代わりに利用をしているボートに乗らなくてはいけません。

もちろん事前予約などはできなく、決まったボート乗り場のようなところもないのですが、水上集落が見える川の対岸付近を探していると、いつの間にかボートが近づいてきます。
観光客の気配がないかと、多くのボートで競い合っているようで、少しでも川の近くを歩きさえすれば、水上集落に行かないかと誘ってくれます。

ボートはあっという間に、私の元へと近づいてきました。
ここからは対岸の水上集落に行くのですが、金額交渉が必要となります。
最初は少しふっかけた値段を提示されるので、相場の1BNDまで引かないことが大切です。

運転手とは、笑顔の交渉をします。
これも水上集落カンポン・アイールまでの旅の楽しみでもありますね。

交渉の末、1BNDで対岸まで連れて行ってくれることになりました。
とりあえず交渉が成功して良かったです。
事前に相場を把握しておかないと高値を摑むことにもなるので注意して交渉に挑みましょう。

ボートには大型のエンジンが搭載されているので、ものすごいスピードで移動できます。
エンジンはヤマハやスズキなどの日本製のものが使われていました。
こんなところでもメイドインジャパンの素晴らしさを感じることになるとは・・・
対岸までは、ものの1分で到着をしてしまいます。

船内では、簡単な英語で話しかけられます。
内容は、対岸に行くだけではなくて、1時間ほどかけて、相場20BND程度で、ブルネイ川沿いを観光するチャーターをしないかという勧誘です。
ブルネイ川沿いにはマングローブ林が広がり、さらにはチャーターしたボートの上からテングザルも見ることができるとオススメしてきます。
今回は時間に余裕がないので、笑顔で断りましたが、ドライバーは少し悔しそうな表情でした。

たった1分ほどの乗船時間なので、あっという間に対岸に到着です。
水上集落の岸壁はコンクリートで整備されているので、船から上陸もしやすくなっていました。
対岸から見ているともう少し劣悪な環境かと思いましたが、意外と整った街という印象です。

階段ぴったりのところに到着し、ドライバーに1BNDを支払い下船しました。
お礼を言う間もなくドライバーは次のお客を探しに猛スピードで川を走り抜けていきます。
ブルネイ川にはかなりの数のボートが常時待機しているので、儲けるために必死なようです。

水上集落「カンポン・アイール」に上陸
いよいよ世界最大の水上集落カンポン・アイールに足を踏み入れます。
見た限りでは家の下のコンクリートが何本も打ってあるものの、強度が心配になります。
常時水に浸かっている状態だと、侵食などもありそうですよね。

コンクリートの上に、電柱が立っているという何とも奇妙な光景です。
水上に住むには、電柱でも家でも、庭でもすべてコンクリを打たなければなりません。

外観だけを見れば素朴に見えますが、屋根には多くの家にアンテナが付いていました。
もしかして家の中はけっこう近代的なのかもしれない?と思いました。

外観は悪い言い方をすれば、スラム街のような街ですが、家の内部には水道、電気、広いリビング、エアコン、大型テレビなど日本ともさほど変わりがない生活をしているようなのです。
見た目だけじゃ、実際の中身は判断できないという言葉はこういう時に使う言葉なのか・・・

水上集落の家を一軒一軒眺めてみると、洗濯物が干してある家、ボートが基礎のコンクリートに係留されている家など、実際に生活をしている様子が垣間見えます。

水上集落に向かう猛スピードのボートがやってきました。
水上集落に住む住民を乗せていると思いますが、陸上なら明らかにスピード違反です。
あまりにもスピードを出しすぎなのです。

私が乗ってきたボートの降り場付近はコンクリートで整備をされていましたが、水上集落の中に一歩足を踏み入れてみると、整備がされているとは言い難い足場となっていました。
そして場所によっては、ゴミ捨て場のようなところもあり、強烈な匂いを放つ場所もありました。
生ゴミの腐った匂いで、とてもではありませんがずっとはいられません。

家から家への移動には、木でできた歩道を歩くのですが、これがけっこう怖いのです。
現地の人は平気な顔で歩いていますが、板と板の間に隙間あり、足を踏み外せば落ちそうです。
それに、地面からの高さもあるので、バランス感覚を持って歩かないと落ちて怪我します。

普通に観光をする分には、ボート乗り場付近のコンクリートでできた足場を歩くこともできます。
そうすれば怖さは全くないはずです。
でも実際の生活の様子を近くで見たければ、木の遊歩道を歩いて街に入ることをおすすめします。

いかにも壊れそうな足場ですが、けっこう頑丈にできているみたいです。
でもとこどころ侵食により崩壊している場所もあったのでスリルはあります。
万が一崩れて、こんな泥沼に落ちたらどんな病気にかかるか分からないので・・・

木の遊歩道には、大きな隙間もあるので、いやでも下が見えてしまいます。
スマホなどが落ちてしまうサイズでもあるので、落とさないよう注意が必要でしたね。

水上集落の中には、学校や病院、消防署などもあります。
ここは水の上ですが、れっきとした”街”に変わりはないのです。

定住はしてみたいと思いませんが、数日だけなら泊まっても良いと思いました。
また、現地の住民と仲良くなれば、家の中を案内してもらえる可能性もあります。

水上集落の交通手段は、ボート頼りです。
まるで水面を道路代わりに、ボートが猛スピードで行き交うのです。

もはやスピードを出しすぎて、高速ジェット船のように浮上走行をしているみたいです。
観光客としてボートに乗っても容赦はなく、スピードを出すので楽しいですよ。

ボートが向かう先は、ブルネイ川対岸の市内中心部です。
私が水上集落へ向かうボートに乗船したオールドモスクがあるあたりに到着します。

川の対岸は近代的なビルが立ち並んでいるので、買い物にでも行くのでしょう。
川を挟んであまりにも光景が異なるので、まるで違う文明を見ているような気持ちになります。

例えるなら、水上集落があるこちら側が100年前の世界を見ている感じ。

一方で、対岸は現代のありのままの姿を見ているような感じです。
対岸の発展ぶりを見ると、なぜ未だ水上集落に多くの人々が住んでいるのだろうと思います。

やはり住みなれた現地住民にとっては、自分の家を離れたくないのでしょうか。
水上で暮らすという不便を、不便とも感じていないのかもしれません。

他国の一般的な水上集落では、貧しい人々が水上にやむをえず住んでいるイメージがありますが、ここブルネイのカンポン・アイールでは、好き好んで水上に住む人々もいるのだとか。

水上集落では大規模な火災も発生しており、ブルネイ政府が安全性を考えて、奨励住宅を給付してまで、陸地への移住を促進しているにも関わらず、移住を拒むほどなのだそうです。
政府が建設した移住者用の公営団地に、格安の賃料で10年間住めば、その物件の所有権は移住者のものになるという、私だったら真っ先に飛びつく好条件でもあるといいます。
それでも移住をしない人が多いということは、金銭を超越し、水上に残りたいという住民たちの思いが詰まった街とも言えるのです。

見た目こそ決して整った住宅ではありませんが、国全体として豊富な資源に支えられた、この地に住む人々の心の充実度に触れた気分にもなりました。
今まで私が訪れた東南アジアの国々、シンガポールやベトナム、タイ、などとはまた一線を画す国なのだとも感じましたね。

水上集落には、トヨタの大きな看板もありました。
車社会のブルネイでは、人々の心の豊かさの一端をトヨタが担っているのかもしれませんね。
まさかこんなところで、トヨタの看板を見ることになるとは思ってもみませんでした。

通称カラフル・ハウス 水上集落で人気の撮影スポット
水上集落内を歩いていると、Jabal Rahmah House(ジャバル・ラフマ・ハウス)と呼ばれるカラフルな家屋を発見しました。
意図せず街を歩いていて見かけたこちらの家屋ですが、カラフルハウスとして知られており、カンポン・アイールの写真撮影スポットになっているそうです。

絵画や、遊具みたいなもの、色鮮やかなボートもあり、芸術家の家なのかも?と思いました。

ここだけは観光地化されているようで、セルフ販売機もありました。
ジュースは、1本1BNDでしたよ。

水上集落の他の建物も意外と色々な色に塗装がされているのですが、一つの家屋でカラフルな色を多用している家屋は私が見た限りではここだけだったと思います。

明らかに他と比べて、集落の中で目立っていましたね。

でも個人的には、観光地化された場所よりも、ありのままの生活がある水上集落の方が実際に旅をしている感覚になりました。
一概に水上集落といっても、かなりの大きさがあるので、自分の足で色々なところを回ってみることをおすすめしたいですね。

水上集落からダウンタウンへ
カンポン・アイールもこのあたりで散策は終了。
およそ1時間程度の散策でしたが、十分楽しめましたね。
再びボートに乗船して、片道1BNDで対岸へと連れて行ってもらいます。

普通に最初は上乗せした値段を提示されるので、価格交渉は必要になります。
でも行きにもやっているので、コツは掴めました。
運転手と会話をしながら、交渉をうまく進めるのも楽しいですね。

帰りも行きと同じく、1分ほどで対岸に到着です。
同じブルネイ川の両端とは思えない光景が広がっていますね。

川を1本挟んだだけの水上集落とは様子が全く異なり、高級ショッピングセンターや中層のビルなどが立ち並んでいます。
ボート降り場の目の前にはあったのは、ブルネイでも最も有名なショッピングセンターのヤヤサンSHHBコンプレックスというところです。
まるで飛行機に乗って別の国にやってきたかのような高級ブランドショップ、フードコート、インターネットカフェ、レストランなど複数のテナントが入居していました。

伝統的な水上集落と、近代的なビルが立ち並ぶ首都の街、がブルネイ川を挟んで共存しているバンダルスリブガワンという街は、非常におもしろい街だと思いました。
将来的には、ブルネイ川を埋め立てて、ダウンタウンを広げる計画もあるそうなので、数十年後にこの場所を訪れたときには水上集落は無くなっているかもしれません。
良いのか悪いのかは現地の人々が判断すべきですが、ブルネイを2024年に訪れたいち旅行者としては、この街の不思議な光景がいつまでも残ってほしいと思うものです。


