初日の目的地は、「鎌岩館」という山小屋です。
富士山は朝が早いので、必然的に夜も早く、ここ「鎌岩館」の完全消灯も夜の20時です。
この日チェックインをしたのは、通常の旅を比べると早く、15:30ごろでした。
富士山は暗くなると周りに娯楽もなく、シャワーも浴びることができず、何もすることがないので、もう眠るしかありません。
それに、翌日のご来光を山頂で見るには、遅くても深夜1:00には山小屋を出る必要があるので、早く寝ないと翌日の体調に影響を及ぼします。
今回は、今までの旅での宿泊とは一段と違った、富士山での山小屋滞在記についてご紹介をしたいと思います。
7合目の山小屋「鎌岩館」滞在記
ここで、今回宿泊をする鎌岩館(かまいわかん)のご紹介をします。
鎌岩館は標高2,790mにある比較的デザインの新しい山小屋です。
2016年にグランドオープン、2021年に改装されたとあって内装はかなり綺麗です。
それに富士吉田ルートの下から数えて、4つ目に位置する山小屋のため、他の山小屋と比べると比較的標高も低く、高山病の高度順応に適した山小屋と言われているそうです。
総客室数は80室で、カーテンで仕切られたドミトリーや、壁で仕切られた個室もありました。
チェックイン
まずは、山小屋に到着して早々、チェックインをします。
登山初心者の私にとっては、山小屋とはどういうシステムなのか全く分かっていませんでした。
建物の中へ入ると、スタッフの方が出迎えてくれました。
かなり若いスタッフも多く、リゾートバイトで来ているのでしょうか?
すぐさま、重いリュックと、靴をビニール袋に入れて運んでいただき、助かりました。

山小屋自体は、数ヶ月前の予約開始当日にインターネットで申し込みました。
支払い方法も、その時点でのクレジットカード払いです。
なので、今回チェックインをするにあたって、お金を払う必要はありません。
予約当時はすぐにお盆期間の3連休中などはすぐに埋まってしまうという情報を耳にしていましたが、なんと実際に来てみるとまだ空室があるとのことでした。
これは、この3連休の天気が悪天候予報となっており、少なからずキャンセルをした登山客がいたからなのではないでしょうか。

館内へと入ると、畳が敷かれた綺麗なお部屋へと案内されました。
ここは、のちに夕食会場となるようです。
私の山小屋のイメージとは程違く、その洗練された空間に驚かされました。
山小屋というと、もっと「小屋感」の強い場所だと思っていたのです。

スタッフの方から、簡単な説明を受けたあとは、畳に座りタブレットで宿泊案内を見ます。
富士山7合目というのに、デジタル化が進んでいますね・・・

鎌岩館のシールまで貰ってしまいました。
これは、鎌岩館の宿泊記念に大切に持っておこうと思います。

お部屋「小部屋」に宿泊
鎌岩館には、6つのタイプのお部屋があります。
ドミトリー、個室、小部屋、眺望付きの小部屋、ロフト部屋、シングルルームです。
今回私が宿泊をしたのは、このうちの小部屋です。
公式HP上では、2名利用時一人につき14,600円〜となっていました。

秘密基地のようなお部屋ですが、寝るスペースはしっかりと確保されていました。
足を伸ばしても、足が外に飛び出ることはない長さがありました。
私が宿泊をしたのは、お盆休み初日でしたので、価格は17,900円と高めの日でした。
悪天候の予報さえなければ、もっとも混雑するはずですから、高いのは当たり前だと思います。

この小部屋なら、完全なプライベート区間を確保することができます。
部屋の中には、換気扇やコンセント、照明も設置されていました。
そして、寝袋と枕ももちろんあります。
床は少し硬めなので、長い間寝ていると体が痛くなってきます。

小部屋には、梯子を使って登る必要がありました。
まだ私が到着をした時刻では、宿泊客がいませんでした。
なので、隣の部屋の様子も撮影をしてみました。
カーテンで仕切られたドミトリータイプの部屋がありますね・・・

ドミトリーだとプライベート空間は全くありません。
やっぱり体を休めるには、少し価格が高くてもプライベート空間がある個室に限ります。

富士登山中は、スマホの電源が無くならないか心配にもなるので、山小屋で充電できると知っていれば安心です。
鎌岩館の小部屋では、コンセントがあるので、寝ている間充電をすることができました。

山小屋の外観と隣接するトイレ
トイレは宿泊棟は別の建物にありました。
使用料は、1回あたり200円ですが、山小屋の宿泊者は無料で何度でも利用することができます。
男性用の小便器があるので、私は個室を利用しませんでした。
個室のトイレは、水鉄砲?で流す方式のトイレだそうです。
水が貴重な富士山だからこそ、工夫がされていますね。
もちろん手を洗う水もないので、アルコールで消毒をすることしかできません。

トイレの目の前には、多くの人が休憩をするスペースと、鎌岩館の正面があります。
深夜寝ている間にトイレに行きたくなったら、一度外に出て行く必要がありました。
後述しますが、夜になるとここから地上の夜景の絶景を見ることができるので、あえて一度トイレに行ってみても良いかもしれません・・・

館内Wi-Fiと夕食
再び館内に戻りました。
入り口には、日の入・日の出時刻が書かれたボードや、明日の天気が表示された紙がありました。
さらには、館内で利用するためのWi-Fiの接続方法に関する紹介もありました。
館内は通常の携帯の電波も繋ぐことはできますが、地上ほど回線のスピードは速くなく、時々全く繋がらなくなる時間帯もありました。
特に私が宿泊をしていた小部屋は周囲を壁に囲まれているので、なかなか繋がりにくかったです。
その代わり、フロントや、建物の外に出ると、比較的繋がりやすかったです。
そこで、館内Wi-Fiにも繋げてみることにしました。
山小屋Wi-Fiというものがあるそうで、auを利用していている場合は無料で利用できます。
このWi-Fiを繋いで利用してみたものの・・・これも結構スピードが遅く、結局は通常の携帯回線を使っていました。

一度小部屋に戻って、再び休憩をすることにしました。
チェックインの時に、スタッフから夕食の時間になったら声がけをしますと言われていたので、その時間を待ちます。
夕食時間は、16:30〜19:30までの先着順になります。
私の場合は、15:30には到着をしていましたので、1番乗りの16:30に呼ばれるようでした。
その後スタッフが無事に声をかけてくれて、最初にタブレットで宿泊案内を見た畳部屋へと案内されました。
そこには、もうすでに10人程度集まっており、夕食を食べ初めていました。
席は他の客と相席になりましたが、牛丼定食をいただきました。
富士山の上で食べる、牛丼、お味噌汁、副菜(シュウマイ、サラダなど)の定食は本当に美味しかったです。
一気にここまでの登山の疲れが癒えたのを覚えています。

夜景
夕食を食べたあとは、やることもないので、部屋へと戻って休憩をして就寝に備えます。
とは言っても、まだ時刻は17:00過ぎなので眠れるはずもありません。
さらには高山病の初期症状で、これまでに感じたことのないような頭痛に襲われました。
コロナに感染した時にも頭痛はありましたが、その数倍の痛さの頭痛に襲われました。
仕方なく、起き上がったり、横になったりを繰り返しながら過ごしていましたが、頭痛はひどくなる一方でした。
このままでは、一睡もできないまま、翌朝出発をすることになることが頭をよぎりました。
そして、頭痛に耐えること時刻は20:00を迎えました。
完全消灯になると、周囲の宿泊客に迷惑をかけるので、ギリギリのタイミングでトイレに行っておくことにしました。
鎌岩館を出てみると、そこには富士吉田の街の絶景を見ることができました。

こんなに標高の高いところで、夜景を見るのも人生で初めての経験です。
ですがその感動を打ち消すほどの頭痛も凄まじいものがありました。
このままだと悪天候以前に、頭痛で山頂まで行くのは難しいかな・・・・
そんなことが頭をよぎりました。

夜になって、気温はさらに下がりおそらく一桁台だったと思います。
建物から溢れる光も暖色で、なんだか幻想的でした。

ずっとこの景色が続いてくれれば良いのですが、このあとは悪天候になるそうです。
今回の富士登山で一番美しい景色がこの夜景となってほしくはありませんが、それが現実のものとなってしまいそうです。

トイレを済ませ、夜景を目に焼き付けて、再び部屋へと戻りました。

ひどい頭痛で眠れず翌朝を迎える
山小屋へ戻ったあとは、翌朝の山頂でのご来光に向けて寝るはずでした。
ですが、頭が張り裂けるような頭痛は全く治る気配がありません。
さらに、私の場合は物音がするような環境では眠ることができないので、いくら個室と入っても出入り口はカーテンのみの仕切りで、どうしても物音が聞こえる環境下では全く寝付くことができませんでした。
それに加えて、隣の部屋の宿泊客のいびきがうるさく、これもどうしようもありません。
追い討ちをかけるのが、高山なので、呼吸数が早くなることです。
横になると、気道が圧迫され、さらに高山病を圧迫させるという悪循環です。
なので、ただひたすらに、20:00、21:00、22:00、23:00と全く眠ることができずに、ひたすら頭痛と呼吸の辛さと、翌日の不安と戦いながら過ごすことになりました。
このままで本当にまずいのではないかと思い、持参していた鎮痛薬「ロキソニン」を飲むことにしました。
ロキソニンは、高山病の頭痛に対しても効き目があるのだそうです。
これを飲んだおかけでようやく頭痛が治り始めました。
時刻は、24:00ごろでした。
ですがあと1時間で、出発をしないといけないという時刻です。
これはもうはっきり言って地獄です。
高山病は、睡眠不足だとさらに悪化するのです。
この時点で、高山病を悪化させる全ての要因が揃ってしまいました。
その頭痛が治ったおかけで1時間ほどは寝ることができますが、いよいよ山頂に向けて出発です。
荷物をまとめて、フロントへと向かいます。
そこには、深夜にも関わらずスタッフの方がいました。
天気の状況を確認すると、山小屋がある7号目付近では、まだ雨は降っておらず、風が強い程度ですが、山頂付近は氷点下の気温で風速は30m/sほどの台風並みの強風が吹いているとのこと。
さらには、これから雨も加わり、暴風雨になるという予報もあると言われました。
これ以上は危険を伴うので登らずに、下山をすることも考えてくださいとのことでした。
試しに山小屋の外に出てみましたが、かなり強い風が吹いています。

他の登山客はどうしていますか?と聞くと、何名かは8号目を目指して登っているとのこと。
でも8号目で、それ以上は登らないように注意喚起をする警備員がいるので、そこで止められる可能性もあると言われました。
このまま下山するか、山小屋でもう少し休むか、8号目を目指すか・・・
色々と考えました。
出した結論は、せっかくきたので、8号目付近までは目指してみることにしましたが、危険だと感じたらすぐに下山をすることにしました。
起床時には幸いにも薬が効いたのか、頭痛は全く無くなっていたので、これも決断を後押ししました。
次回、山頂への登山がどうなったのかをご紹介したいと思います。


